刑事訴訟法319条は自白法則と補強法則を定める。自白は有力な証拠だが、強制・拷問・誘惑等による虚偽自白を排除するため厳格な要件が課されている。司法試験では任意性の判断基準と補強証拠の範囲が繰り返し問われる。
条文
刑事訴訟法第319条(自白の証拠能力・証拠価値)
強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。 2 被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
自白法則(1項)
自白の証拠能力が否定される場合
① 強制・拷問・脅迫による自白
物理的強制はもちろん、精神的強迫も含む。違法な取調べ(長時間・深夜・身体拘束下)による心理的圧迫も問題となる。
② 不当に長い抑留・拘禁後の自白
何日が「不当に長い」かは具体的事情による。身体拘束の不当性が任意性に疑問を生じさせる場合に排除。
③ その他任意性に疑いがある自白
利益誘導(起訴猶予を示唆等)・欺罔(偽の証拠を示す)による自白も任意性なしとされる場合がある(最判昭和41年7月1日)。
補強法則(2項)
自白のみを証拠に有罪とすることはできない(補強証拠必要)。これは虚偽自白による冤罪防止が目的。
- 補強証拠が必要な範囲:犯罪事実の核心部分(構成要件該当事実)
- 補強証拠が不要な範囲:情状事実(量刑判断のみに関わる事実)
- 補強証拠の程度:自白と相まって有罪と認定できる程度(最判昭和23年7月19日)
- 共同被告人の自白:相被告人の自白は補強証拠になりうる(最大判昭和33年5月28日)
任意性の立証責任
自白の任意性は検察側が立証する(最判昭和41年7月1日)。被告人が任意性を争った場合、検察は取調べ状況等を証拠で示して任意性を証明しなければならない。